狭小3階建ての階段計画

3階建ての家では、2階建てに比べて階段を使う回数が多くなります。

そのため、間取りを考える際には階段の位置だけでなく、階段の上り下りのしやすさについてもかなり気になりました。

一方、床面積を有効に使うためには、階段に使うスペースはできるだけ小さくしたいところです。ただし、階段スペースを小さくしすぎると階段が急になり、毎日の上り下りが大変になります。

そこで今回は、間取りを決める際に調べた階段の種類や、蹴上・踏面、段数についてまとめます。

階段を考えるときに決めること

階段を検討する際には、大きく分けて次の2点を決める必要があります。

  • 階段の形状
  • 蹴上・踏面と段数

「蹴上(けあげ)」は一段あたりの高さ、「踏面(ふみづら)」は足を載せる部分の奥行きです。

同じ階高であれば、段数を増やすほど蹴上を小さくできます。一方、踏面を広くすると、それだけ階段に必要な長さも増えます。

つまり、階段の上り下りのしやすさと、省スペース性はある程度トレードオフになります。

階段の形状を考える

階段には直階段のほか、途中で90度曲がる「かね折れ階段」や、180度折り返す「折り返し階段」などがあります。

途中に踊り場を設けた折り返し階段は比較的安全性が高そうですが、その分、階段に必要な面積が大きくなります。

また、今回のような間口の限られた3階建てでは、180度折り返す階段は建物形状ともあまり相性がよくありませんでした。

そこで候補になったのが、階段の下側で90度曲がる「下廻り階段」です。

住宅では、90度曲がる部分を3段の廻り段にする階段をよく見かけます。

実際、モデルハウスでも何度かこのタイプの階段を見ました。

ただ、3段廻りの部分を上から降りてみると、階段に慣れていないこともあって少し怖く感じました。内側は踏面がかなり狭くなるため、足を踏み外しそうな感覚がありました。

特に、上階から降りてきた最後に3段廻りになる形は避けたいと思いました。

そこで、曲がる部分を階段の登り口側に配置する下廻り階段を採用することにしました。

蹴上は200mm以下を目標に

次に考えたのが、蹴上と踏面です。

インターネットで調べた情報や、実際にモデルハウスで階段を上り下りした感覚から、蹴上はできれば200mm以下にしたいと考えました。

ただし、蹴上を小さくするためには段数を増やす必要があります。

段数を増やせば階段も長くなるため、間取りとの兼ね合いを考える必要があります。

そこで、いくつかのモデルハウスで、

  • 天井高
  • 蹴上
  • 段数

を確認し、そこから各階の階高を推定しました。

厳密には、蹴上を決めるのは「天井高」ではなく、下階の床から上階の床までの高さである「階高」です。

今回の住宅では1階と2階で天井高が異なるため、同じ段数の階段を使うと、1階―2階と2階―3階で蹴上が変わってしまいます。

そこで、モデルハウスで確認した寸法を参考にしながら、階段の段数と直線部分の長さから、蹴上、踏面、階段角度を計算して比較しました。

検討した階段寸法

今回の間取りに入りそうな階段について、いくつかのパターンを比較しました。

なお、廻り部分は910mm角を基本としています。そのため、階段スペースを広げる場合は、主に直線部分の長さを変えることになります。

比較した結果が以下です。

No.123456
階段タイプ下廻り下廻り下廻り下廻り下廻り下廻り
段数(蹴上数)131414151513
廻り部分の段数333433
直線部分の段数9101010119
階段スペース長さ[mm]318531853185318531852730
直線部分長さ[mm]227522752275227522751820
廻り部分長さ[mm]910910910910910910
天井高[mm]240024002600260026002400
蹴上[mm]210.8195.7210.0196.0196.0210.8
踏面[mm]252.8227.5227.5227.5206.8202.2
蹴上×2+踏面[mm]674.3618.9647.5619.5598.8623.8
階段角度[°]39.840.742.740.743.546.2

※段数は上下階の床面間の蹴上数として数えています。そのため、廻り部分と直線部分の踏板数を足した数とは1段異なります。

最小スペースではかなり急な階段になる

最初に説明を受けたのは、天井高2400mmの場合、下廻り階段ではNo.6のような階段がほぼ最小になるというものでした。

階段スペースの長さは2730mm、段数は13段です。

この場合、

  • 蹴上:210.8mm
  • 踏面:202.2mm
  • 階段角度:46.2度

となります。

実際に数字を出してみると、かなり急です。

もちろん階段スペースは小さくできますが、3階建てでは毎日何度も利用する場所です。

多少床面積を使ってでも、もう少し上り下りしやすい階段にしたいと考えました。

1階―2階は14段にする

そこで、階段スペースの長さを3185mmまで広げて検討しました。

天井高2400mmの場合、14段としたNo.2では、

  • 蹴上:195.7mm
  • 踏面:227.5mm
  • 階段角度:40.7度

となります。

目標としていた蹴上200mm以下に収まりました。

階段の上りやすさを見る一つの目安として、

蹴上×2+踏面

という値があります。

No.2の場合は、

195.7 × 2 + 227.5 = 618.9mm

となります。

600mm前後から600mm台前半くらいは比較的歩きやすい寸法の目安として紹介されていることが多く、数値上も大きな問題はなさそうでした。

踏面は227.5mmです。

モデルハウスで確認した階段にも同程度の踏面のものがあり、実際に上り下りしてみても特に狭いとは感じませんでした。

そこで、1階―2階についてはNo.2の階段を採用することにしました。

2階―3階は同じ階段にできない

3階建てで床面積をできるだけ無駄にしないためには、1階―2階と2階―3階の階段をできるだけ同じ位置に重ねるのが効率的です。

そのため、当初は上下階で同じ長さ、同じ段数の階段を使うことを考えていました。

しかし、今回の間取りでは1階と2階で天井高が異なります。

1階の天井高は2400mm、2階は2600mmです。

モデルハウスで確認した寸法から推定すると、それぞれの階高には約200mmの差があります。

これは、ちょうど階段一段分程度の差です。

そのため、1階―2階と同じ14段の階段を2階―3階にも使うと、No.3のようになります。

No.3では、

  • 蹴上:210.0mm
  • 踏面:227.5mm
  • 階段角度:42.7度

となります。

1階―2階の蹴上195.7mmに対して約14mm高くなり、上下階で階段を上り下りしたときの感覚が変わってしまいます。

せっかく1階―2階で蹴上を200mm以下にしたので、2階―3階でもできるだけ同じ寸法にしたいところです。

2階―3階だけ一段増やす

そこで考えたのが、2階―3階だけ階段を一段増やす方法です。

15段にすると、蹴上は196.0mmとなり、1階―2階の195.7mmとほぼ同じになります。

ただし、通常どおり直線部分の段数を増やしたNo.5では、踏面が206.8mmまで短くなってしまいます。

また、単純に直線部分を一段分長くすると、今度は階段自体が長くなり、間取りにうまく収まりませんでした。

ここで参考になったのが、住宅情報サイトで見ていた3階建て住宅の間取りです。

リビング階段の登り口部分を廻り段として処理し、最初の一段をリビング側へ少し張り出させることで、直線部分を長くせずに一段増やしている間取りがありました。

この方法なら、階段スペース全体の長さを3185mmのままにしながら、2階―3階だけ15段にできます。

これがNo.4です。

No.4では、

  • 蹴上:196.0mm
  • 踏面:227.5mm
  • 蹴上×2+踏面:619.5mm
  • 階段角度:40.7度

となります。

1階―2階に採用したNo.2は、

  • 蹴上:195.7mm
  • 踏面:227.5mm
  • 階段角度:40.7度

なので、ほぼ同じ階段寸法になります。

そこで最終的には、

1階―2階:No.2の14段

2階―3階:No.4の15段

という組み合わせにしました。

まとめ

3階建てでは階段を使う機会が多いため、間取りを考えるときには階段スペースだけでなく、蹴上や踏面まで確認しておいた方がよいと思いました。

今回特に意識したのは、

  • 上から降りてきた最後に3段廻りになる階段を避ける
  • 蹴上をできるだけ200mm以下にする
  • 踏面はモデルハウスで実際に確認する
  • 1階―2階と2階―3階で階段の感覚をできるだけそろえる
  • 階段を上下階で重ね、3階建ての床面積を有効に使う

という点です。

階段は間取り図ではそれほど目立ちませんが、3階建てでは毎日何度も使う設備です。

一方で、快適性を重視して階段を大きくしすぎると、居室や収納に使える面積が減ってしまいます。

今回は、モデルハウスで実際に階段を上り下りしながら寸法を確認し、さらに蹴上・踏面・階段角度を計算して比較することで、省スペース性と上り下りのしやすさのバランスを取ることにしました。

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